変わる大学入試!

第3回推薦やAOはどうなる?私立大も入試が変わるの?

センター入試廃止が主な軸となる新・大学入試制度。しかし当然ながら、現在の大学入試方式はセンターだけではありません。推薦入試やAO入試もあります。制度変更元年となる2020年度以降、これら「センター以外」の入試や、センター受験が必須ではない私立大の入試はどう変わるのでしょうか?予測も含めて見てみましょう。

推薦・AOは新入試制度に「統合」

結論から申しますと、推薦やAOは廃止となる予定です。ただし、入試制度・名称として廃止するだけであり、それらの入試で行われていた選抜制度(何をもとに受験生を評価するのかという基準)がなくなるという意味ではありません。

推薦・AOは、教科外での実績や人物像なども評価対象としますが、それをやめるわけではないということですね。具体的には、新入試制度の二次試験等に組み込むことが予想されています。中教審(※)の答申では、推薦・AOの「区分を廃止」という表現をしていますが、新入試制度へ「統合」すると考えると分かりやすいでしょう。

つまり、現在のセンター入試のような学力審査(プラス、その応用力)と、推薦・AOのような学力以外・人物審査を合体させたものが、新しい入試制度だということ。少し大げさですが、逆を言えば、これまでの入試は学力と人物のどちらか「だけ」を評価してきた、やや極端なものだったとも言えます。ここを改めようとしているのです。

(※)中教審(中央教育審議会)…文部科学大臣の諮問機関で、文科省内において基本的かつ重要な事項を取り扱う最高位の審議会


推薦・AO入試の功罪

ここで少し、現在の推薦・AO入試について知っておきましょう。そもそもなぜ大学入試制度を変えるのかという根本的原因とも無縁ではないからです。

推薦とAOは、学力以外の人物像も評価するという点では同じですが、最も大きな違いは、原則としてAOでは「学科試験を課さない」ということでしょう(ただし、例外もあります。また、推薦入試においても学科試験を課さない場合もあり、実質上、推薦とAOの垣根は曖昧になってきています)。

もともとAO入試は、暗記型学力一辺倒だった当時の大学入試制度を問題視し、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスが1990年に初めて国内に導入したもの。そう、志の部分では今回の入試制度改革と同じだったのです。学科試験を課さない代わりに、高校の評定平均や英検等の検定スコアなどで学力を把握・担保しつつ、面接や小論文、プレゼンなどを課して人物評価を重視。その難易度は(現在も)非常に高く、個性的で能力の高い学生を集めることに成功しました。そこで多くの大学がこれに倣ったのですが、少子化の影響もあり一部の大学がこれを曲解して形骸化させ、安易な学生確保の手段として用いてしまったのです。

努力しなくても大学に入れる時代

つまりそれは、高望みしなければ誰でも簡単に大学生になれるということ。結果、私たちの持つ大学観とは大きく変容し、現在の受験生の多くにとって大学は「努力して入るところ」ではなくなってしまったのです。実際、2014年度の大学入学者のうち43%、私立のみなら50%が推薦・AOでの入学というデータ(文部科学省調べ)もあるように、「行きたい大学」ではなく「行ける大学(しかも楽に)」を選ぶ傾向が強まってしまいました。これでは、日本の未来を担う人材が育つはずもありません。

学力以外の魅力「も」評価しようと始まった推薦・AO入試ですが、結果(それだけが原因ではないにせよ)、大学生として必要な基礎学力さえ持ち合わせない学生、あるいは自己実現のための努力もできない学生を大量排出するという、皮肉な結果を招いてしまいました。そこで「学力だけでもダメ」「かといって人物評価だけでもダメ」ということで、これらを統合した新しい入試制度の誕生へと動いていったのです。

私立大志望なら関係ない?

ただし、冒頭でも述べたように、センター入試は主に国公立大学の入試で用いられてきたもの。私立大学ではあくまで入試の「選択肢の一つ」です。すると、センター廃止の有無に関わらず、2020年度以降も私立大は現在と同じ入試制度を継続するのでは?という考え方もできます。

これについては予測の域を出ませんが、現時点では私立大も国公立大に追随するのではないかという見方が強まっています。2020年から急にすべての私立大入試が変わるわけではないでしょうが、「うちは国公立を受けないから関係ない」とは言えないようです。

※当コラム記載の日付・数値等はすべて計画段階のものであり(2015年12月20日現在)、変更される場合もあります