変わる大学入試!

第4回二次試験で問われる「正解のない問題」とは?

前回、新入試制度は「現状の学力入試を一次、推薦・AO等で用いられる人物・個別評価を二次とし、統合するイメージになる」とお伝えしました。しかし、判断が難しいのは二次の個別評価。どうやってそれを評価するのでしょうか。詳細は未定ですが、現在の推薦・AO入試を参考に多少は予想できそうです。一緒に見てみましょう。

“なぜその大学なのか”――熱意と論理性を問う「志望理由」

推薦・AOにおいて多くの大学で提出を求めているのが「志望理由書」。なぜ他大学でなくその大学なのか、入って何を学びたいのか、大学卒業後の希望進路などを800〜2,000文字程度で記述させ、面接や対面プレゼンを課してさらに詳しく掘り下げるものです。

現在でも、志望理由にはかなりの熱意と論理性が求められます。大学にもよりますが、「英語が好きだから英文科で、将来は語学関係の仕事を〜」程度だと合格は難しいでしょう。「なぜ英語なのか」「英語に対してどんな努力をしてきたか」「そこで得たものを、大学でどう活かすか」「語学関係の仕事とは具体的に何?なぜ?」といった点まで問われることも珍しくありません。徹底した自己分析が必要です。


小論文やグループディスカッションも試験の対象に

続いて小論文。希望学部・学科の研究領域に近いテーマを与え、それについて意見を記述させ、国語力や論理的思考力を見ます。

例えば「18歳選挙権について賛否を述べよ」とか、複数のグラフから傾向を読み取って「子供の体力低下の原因を考察せよ」といった問題です。重視されるのは「なぜそう言えるのか」を論理的に説明できる思考力(文章力)。「A=Bである。B=Cとすると、A=Cといえる」といった三段論法の考え方などを普段から鍛えていないと対応できないでしょう。

ほか、グループディスカッションを行う大学もあります。これは、与えられた課題を5〜6人のチームで考えるもの。「駅前の不法駐輪をなくす方法を考えよ」(関西大)といった問題が出題されます。

大事なのは「他者を論破する力」ではなく、協力して一つの結論を導き出すコミュニケーション力やリーダーシップ。人の意見を聞かず感情的に主張したり、話し合いへの参加が消極的だったりすると、減点の対象です。

「地球人が国単位で暮らす理由」を説明できますか?

AO最難関の一つとして知られる慶應大などでは、「これが入試問題!?」と思うような難問・奇問も出題されています。過去には「宇宙人に、地球人が国単位で暮らす理由を説明せよ」といった小論文が課されたことも。そもそも「国とは何か」という概念知識や、人間の社会性について本質を考える力がなければ、まず答えられない問題です。

また、大学ではありませんが、2013年の麻布中学の理科の入試問題も、そのユニークさが話題になりました。「ドラえもんが生物と言えないのはなぜか」というものです。ちなみに「ロボットだから」では不十分。解答例としては「生物の前提は子孫を残せることであり、生殖機能のないドラえもんは生物とは言えない」といった感じです。

志望理由を含め、これらの問題に共通しているのは「正解がなく、どのような論理でそう考えたか」を見ているということ。つまり、未解決な問題が山積する社会で、新しい価値や活路を生み出せるイノベーティブな人材を育てたいからこそ、国は今回の入試改革に踏み切ったとも言えるのです。

「高3の夏から本気を出す」では間に合わない!?

慶應や麻布が特殊なのだと楽観視するのは簡単でしょう。しかし、小学生にさえこんな問題を課す時代になったという事実が重要なのです。これが先駆となり、新制度元年である2020年にはスタンダードになることも十分考えられます。

仮にこれらの試験が新制度に応用される場合、確実に言えるのは、早期かつ継続した対策が必要だということでしょう。目標を抱くことや、思考力・判断力などは、暗記のような一夜漬けが通用しないからです。「高3の夏から本気を出す」では間に合わない可能性も……。

確かに、志望理由書で問われるような、キャリアプランを高校生のうちに絞り込ませるかのような風潮には賛否両論あります。しかし少なくとも、何を頑張るでもなく漫然と高校3年間を過ごして来た子や、脇目もふらず勉強「だけ」をしてきた子には不利な制度だと言えそうです。

※当コラム記載の日付・数値等はすべて計画段階のものであり(2016年1月20日現在)、変更される場合もあります。