変わる大学入試!

第5回4技能評価で「使える英語」重視へ

知識を「得る」だけでなく、知識を「使える」力も重視する方向に転換する新・大学入試制度。特に英語においては、その傾向が顕著に表われています。では、英語を「使える」力とは、具体的にどういうことでしょうか。私たちの知っている英語学習・英語試験と何がどう変わるのでしょうか。

なぜ日本人は、10年学んでも英語を「使えない」のか

まず、英語の入試制度改革の根底にあるのは、日本人の英語力の低さです。グローバル化が進む社会の中で、国際共通語でもある英語力はもはや欠かせないスキルとなっていますが、スイスに本部を置く世界的語学学校・Education Firstの調査(2015年)によると、日本人の英語力は70カ国中30位(表1)。中・高・大と約10年間も英語を学んでいるにも関わらず、ビジネスあるいはディベートやディスカッションなどにおいて、英語を「使える」人材はほとんど育っていません。「これでは意味がない(英語教育が機能していない)! 大学入試を改革することで、英語教育そのものを変えていかなければ……」というのが今回の大きな流れです。


「読む・聞く・話す・書く」の4技能を見る

そこで、新入試制度化における英語試験では、「読む・聞く・話す・書く」の「4技能」をバランスよく審査する方向で検討が進んでいます。

これまでの英語入試問題では、主に語彙力や文法などを中心とした「読む」力と、ICプレイヤーから流れる音声問題に答えるといった「聞く」力が重視されてきました。いわば、受動的(受け身の)英語力であり、これが、入試に合格するためだけのいわゆる“受験英語”(=使えない英語)と揶揄された部分です。

新制度下では、それらに加え、英語で自分の意見を発信できる「書く」力と「話す」力、すなわち能動的な英語力も合否の基準とし、きちんと「使える英語力」を身につけさせようと考えています。

民間の英語資格・検定試験結果の応用も検討

しかし「書く」「話す」力を測定するにおいて、どのような試験方式が用いられるのかはいまだ不透明。検討されているのは、記述式の回答(センター入試では全問マークシート方式)の一部採用や、民間の資格・検定試験(英検・TOEIC・TOEFL・GTECなど)の結果で全面的に判断する方法、新入試制度独自の試験と資格・検定の結果を組み合わせて判断する方法などです。

また「いつ」判定するのかも未定で、センター試験に代わる『大学入学希望者学力評価テスト(仮称)』内で実施するのか、その後の各大学個別の二次試験で実施するのか、あるいは資格・検定を代替とし、0.5次試験のような形にするのか、あらかじめ出願資格に設定してしまうのか、経過が注視されています(表2)。

ただ、こうした4技能測定を合否に用いる方法は、一部の大学や入試方式(推薦・AO入試など)ではすでに導入されており、その実施状況を見る限りでは、資格・検定の応用を有力とする見方が強いもよう。特に「話す力」において、受験生一人ひとりの能力を個別に測定するには、人員的・時間的に難しいという現実的な声が多いためです。

実は早くから指摘されていた4技能の重要性

これに伴い、中高での英語授業内容の変化も想定されています。例えば、従来の英語授業では「私の趣味は野球です、を英訳しなさい」という出題が中心だったとすると、4技能重視の授業では「あなたの趣味は何か、英語で伝えなさい(書きなさい)」といったコミュニケーション型の問いが増えるとイメージしてもらうと良いかもしれません。

そう考えると、なぜ日本は初めから4技能を重視しなかったのだ、と思われるかもしれません。ところが実は、教育指導要領においては、ずいぶん昔から「4技能を育てるように」と指示されていました。しかし、大学側の受験制度がそうなっていなかったのです。中高の立場で考えれば、最終的な大学進学を見据えると、4技能よりも大学受験を意識した英語指導に舵を切らざるを得ません。これはどちらが悪いという話ではなく、こうした高大接続にそもそもギャップがあったという点が問題であり、国が大学入試制度改革に踏み切った理由の一つでもあるのです。

※当コラム記載の日付・数値等はすべて計画段階のものであり(2016年2月20日現在)、変更される場合もあります。